JOKERを2回みた話

映画「JOKER」を2回観た。

同じ映画を観るために映画館に2回以上足を運んだのは・・・久しぶりのような気がする。

「JOKER」とは、今大ブームのバットマン・シリーズのスピンオフ作品だ。アメリカで問題になっている『インセル』と言われる人たちを題材とし、ジョーカーがいかにしてジョーカーになったかを描いた映画である。

私は通関士試験から解放され、とりあえず何でもいいから今流行っている映画を映画館で観たい!と思いJOKERを選んだ。予備知識0、なんならバットマン・シリーズの映画は一度も観たことがない、それどころか「バットマンってマーベルじゃないの?」くらいの知識しかなかった。でもなんか流行ってるっぽいし、金獅子賞とってるならそれなりに面白いはずやろ!のノリだけだった。

初回の鑑賞後、軽くウツっぽくなって少し後悔した。
す、救いがない・・・
俗にいう「無敵の人」が「ヴィラン」へと変わる瞬間、カタルシスを感じさせるような映画は、確かに問題作だった・・・
彼はこうなるしかなかった人なのだ・・・
社会のあり方に警鐘を鳴らす映画だった・・・のか?
いずれにせよ、これを2回も観るような強靭なメンタルはないなぁと思い、私の中では「話題のインセル映画を映画館でみた。終わり」で済ませようとしていた。

・・・が、見終わった翌日から、自分以外の人があの映画を観てどう感じたのか、とにかく気になって仕方がなかった。なんとなく「話題の映画みたわ~」の一言で終わらせられなかった。なんでなのかはよくわからないけれど。
日本語、英語を問わず、ネット上の様々な考察に目を通した。
その中で個人的にしっくりきたのが、岡田斗司夫氏のYouTubeだった。
一応ネタバレなしの動画はこちら。気になる人がいたら、私がしっくりきたというネタバレありの方も見てみてちょ。

ようやく自分の理解力と予備知識が足りていなかったことに気が付き、この映画に影響を与えたと思われる以下の2本の映画をアマプラで見て、再びJOKERを劇場で観る決意を固めた。

1. タクシードライバー
マーティン・スコセッシ監督、ロバート・デ・ニーロ主演の映画。
1970年代後半の、薄暗いアメリカが舞台。主人公はベトナム戦争で心に傷を負った元海兵のタクシードライバー。気になる女性をようやくデートにこぎつけたものの、その社会性のなさ?慣れてない?からか、初回のデートで彼女をポルノ映画に連れていき、当然のごとくフラれ、それに腹を立てて職場にまで押し掛ける始末・・・。まあまあサイコな暴走っぷりを見せつけるものの、最後・・・っていう話。

2. キングオブコメディ
マーティン・スコセッシ監督、ロバート・デ・ニーロ主演の映画。
自己愛性人格障害?と思われるサイコパスなコメディアン役を、ロバート・デ・ニーロが見事に演じた一作。はじめっから終わりまでクレイジーすぎて、なんかもう・・・デニーロマジぱねえ、って感じ。共感できるポイントが正直ほぼない上に、主人公の行動がいつも斜め上すぎるので、もうただただハラハラしながら見てしまった。This is a Thriller…

JOKERがこれらの作品から受けた影響は、みてみるとよく分かったので、先週再度JOKERを観に行った。

感想をつらつらと述べるとほぼネタバレしそうなので、サラーッと。
これが資本主義の限界だ!きちんとした富の再分配を!!とか、アメリカはそろそろパーティ至上文化を脱却してインセルにも社会的地位を認め、ホンモノの多様性を目指すべき!!とか、そういう話は専門家の方々に委ねよう。

私は・・・あの小人症の男性のようになりたい。ジョーカーの同僚に小人症の男性がいる。彼も日ごろから身体的特徴をからかわれてストレスを感じていそうなのだが、彼は常にジョーカーに親切だった。ジョーカーの世界はまさに「弱い者達が夕暮れ さらに弱い者をたたく」(TRAIN-TRAIN By THE BLUE HEARTS)世界だが、彼だけはジョーカーを叩いたりしなかった。救いのない中で、彼は唯一観客の救いだったと思う。
今私も非正規雇用の独身女性という社会的にマイノリティな弱い立場にいて、職場には自分より社歴の短い(若い)派遣の女性をパワハラするようなヤバイ派遣女がごろごろいるけれど、私はああはなるまい。誰の恨みもかわないように、ただただ凪のように穏やかで人に優しい人になりたい・・・、あの彼のように。
あと2回目のほうがジョーカーを演じているホアキン・フェニックスの凄さが分かりやすかった。ネ、ネタバレになってないかな・・・、大丈夫かしら・・・。

JOKERみて、スコセッシ2本消化してまたJOKERみるの、まぁまぁメンタル削られるんで、メンタル元気な人だけ興味があれば挑戦してみよう!他人にオススメできるのかできないのかよくわからないめちゃくちゃ暗い映画やけど、見ないのはもったいないと思う・・・個人的に。

MathsのXX通信